学習支援の小さなアイディア(2)

動画編:法制度や社会システムの学習

候補者にとって「難しい!」と言われる法律や社会制度の学習。今回は、前回の「リーフレット編」に続き、介護保険や地域包括ケアの学習の際に制度のイメージ作りに参考になる動画サイトを紹介します。


動画を使って、実際の制度のイメージを作りましょう!

みなさんは、地域包括支援センターという言葉を聞いたことがありますか。市町村が設置している高齢者の介護や悩みに関する相談窓口です。地域包括支援センターは、厚生労働省では、以下のように説明されています。

地域包括支援センターは、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として、包括的支援事業等を地域において一体的に実施する役割を担う中核機関として設置。市町村は責任主体。

このように抽象的な言葉で説明されると理解しにくいですね。外国人で介護の学習を進める方にとっては、なおさらだと思います。そこで以下のような動画を使うのはどうでしょうか。具体的に利用者の様子を紹介しているものがあると、学習者も理解しやすく、制度や社会システムのイメージが作りやすいようです

ご紹介する動画は静岡県の広報動画です。


動画についての内容確認の問題を出したり、専門用語や情報の整理を行うとよいでしょう。

例えば、内容確認の問題として、「地域包括支援センターには、どんな専門職がいますか。」などと問いかけます。動画は短いものですので、全体を確認した後は、少しずつ動画を止めながら内容や言葉を確認してもよいと思います。

また、NHK for school の動画では、社会保障や社会保険などについて、視覚的に分かりやすく、短く説明されています。音声情報だけでなく、字幕などの文字情報でも内容を確認できます。

注意点として、学校教育用に作成された教材は、学習内容を理解するために背景知識が必要だったり、説明で使われている言葉が難しかったりすることがあります。このため、介護の日本語を学ぶ外国人にとっては、動画の内容の理解が難しいこともあります。また、社会制度や法律については制度の変更や法律の改正がたびたび行われますので、最新の情報を随時確認しておくことが必要になります。

この他、様々な地域や市区町村、県で法律や制度の広報を目的としたサイトや動画が作られています。広島県、静岡市、那覇市...各地の動画があります。「○○県 地域包括支援センター」などで検索すると、県や市区町村のサイトや動画が出てきます。



学習者の日本語レベルや、興味・関心に合ったものを選んでみてください。


きょう

日本語教師。専門は日本語教育学。EPA介護福祉士候補者への訪日後日本語研修、介護福祉士国家試験のための専門日本語教育を行う。専門日本語教育では介護の専門家と連携しながら、ベトナム、フィリピン、インドネシアの候補者の日本語学習を支援する。留学生への日本語学習支援なども行う。