介護福祉士国家試験のための専門用語学習(3)

ウェブサイト「介護のことばサーチ」の紹介

本ブログでは以下の記事で、介護福祉士国家試験(以下、国家試験)に向けての準備としては、文法学習よりも文法学習よりも語彙学習、特に専門用語学習が重要であること、国家試験では、一般の日本語教育ではカバーできない多様な語が用いられることをお話ししました。

学習者が、国家試験に向けて教科書やワークブックを使って勉強していると、初めて見る語や意味が分からない語が頻繁に出てくることになります。そんなときに、わからない言葉をどうやって調べればいいでしょうか。

以前EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者に教材の説明をする機会がありましたが、その時に候補者の方に、わからない言葉はどうやって調べるか尋ねてみました。答えは、「インターネットです」「Googleで調べます」といった答えが大多数でした。Google翻訳は、無料ですし、簡単に調べることができるのでとても便利ですが、介護の専門用語が全て網羅されているわけではありませんし、翻訳の正確さも疑問がないわけではありません。

最近は外国人介護従事者向けに専門語彙の教材がいくつか出ていて、正確さという意味では非常に頼りになると思います。どのような教材があるかについては、以下の記事を見てみてください。

ただ、これらの教材は書籍ですので、常に持ち歩くのは難しいかもしれません。その意味でスマートフォンでも使えるオンラインの辞書は、いつでも、どこでも使うことができ便利です。今回ご紹介する「介護のことばサーチ」はウェブサイトで、パソコンでも、タブレットでも、スマートフォンでも使用することができます。


このサイトには以下の機能があります。

介護専門用語の検索

学習者が様々な手がかりから介護専門用語を調べられるように 漢字、ひらがな、カタカナ、英語、 インドネシア語から検索が可能です。例えば、ひらがなで「じょくそう」を検索ウインドウに入れると、「褥瘡」「褥瘡予防」「褥瘡予防マット」の3語がヒットしますし、英語で「heart」を検索ウィンドウに入れると、「急性左心不全」をはじめとする33語がヒットします。自分が調べたい語をクリックすると、その後の読みと、英語訳、インドネシア語訳が提示されます。

国家試験の領域・科目ごとに言葉を見る

介護福祉士国家試験の領域や科目ごとに、そこに含まれる言葉の一覧が提示されます。これにより、学習者は自分がこれから学ぶ科目に合わせて専門用語を勉強することができます。

必要な語をメモする

1回調べただけでは、その語の意味を覚えるのは難しく、同じ語を何度も調べなくてはいけなくなるということはよくあることだと思います。このサイトのそれぞれの言葉のページには「メモする」ボタンがあります。これを押すと、その言葉が記録され、同じ語を何度も調べる必要がなくなります。「メモページ」ボタンを押すと、メモした言葉が提示されます。どのような語が必要かというのは、学習者によって異なりますが、この機能によりその人専用の単語帳ができるわけです。

簡単なクイズで理解を確認

検索結果や、領域・科目ごとの言葉の一覧を使い、簡単なクイズをすることができます。

このサイトの使い方は、以下をご覧ください。


なかがわ

日本語教師。専門は専門日本語教育。主に留学生対象の日本語教育を行う。これまでに、介護、看護、医学、ビジネスの専門日本語の教材開発や教育実践に携わる。専門日本語教育以外には、異分野との協働や日本語教師の管理運営業務に関心を持つ。