介護福祉士国家試験のための専門用語学習(4)

ウェブサイト『やさしい日本語でまなぶ介護専門用語集』の紹介

介護福祉士国家試験を受験する上で、日本語を母語としない外国人にとっては、専門用語の学習が鍵となります(参考記事:「国家試験に向けて学ぶべき日本語とは」。そこで、筆者らの研究グループは、介護福祉士国家試験対応のウェブサイト「やさしい日本語でまなぶ介護専門用語集」を開発しました。この記事では、このサイトの概要と使い方についてご紹介します。

概要

「やさしい日本語でまなぶ介護専門用語集」は、国家試験の各科目で用いられる専門用語613語を、やさしい日本語(わかりやすい日本語)や、英語・インドネシア語・ベトナム語訳で学ぶことができるようになっています。学習者の母語に直訳しただけでは理解しにくい語を中心に、国家試験を受験する上で重要と思われる語を選びました。概ね日本語能力試験N3〜N2レベルで読める語彙で構成されています。


使い方

1. 科目ごとに学ぶ

介護福祉士国家試験の科目ごとに、専門用語を学ぶことができます。13科目の中から選んで、その科目で国家試験に出題される専門用語を選んで学習することができます。例えば、「障害の理解」の科目には、「障害者基本法」が掲載されています。


2. カテゴリー・分野で選ぶ

専門用語には、そのことばのカテゴリー・分野を示す「ハッシュタグ」がついています(「身体部位」「コミュニケーション」「精神保健」など)。タグを選ぶことで、カテゴリー・分野ごとに学ぶことができます。上記の障害者基本法の場合は「法律名・条約名」「障害」というタグがついています。

3. 多言語で検索する

専門用語を検索することもできます。ひらがな・カタカナ・漢字で、さがしたいことばを入力してみてください。英語・インドネシア語・ベトナム語を入力すると、その検索語が(専門用語や説明文に)含まれている語が表示されます。

応用編

サイトの基本的な使い方は以上ですが、実際の学習(支援)の現場では、いろいろな応用ができると思われます。

授業の予習に使ったり、語彙学習の素材として使う以外にも、

  1. 母語による説明を読むことで、学習者が専門用語を理解する。
  2. 当サイトのやさしい日本語による説明自体を、読解素材とする。
  3. やさしい日本語による説明を見て、どの専門用語を説明したものかを考える。
  4. 学習支援者が学習者に専門用語を説明する際の参考にする。

などの使い方が考えられます。

「やさしい日本語でまなぶ介護専門用語集」は、もともとEPA介護福祉士候補者向けに開発されたものですが、介護専門学校で学習している人や、外国人技能実習制度や特定技能の在留資格で就労しながら国家試験受験を目指す人など、さまざまな学習者、そして学習支援者のみなさまに使っていただけると思います。

なお、サイトの開発は、以下の研究助成によるものです。

2017-2020年度科学研究費補助金・基盤研究(C)『EPA介護福祉士候補者のためのやさしい日本語を用いた専門語彙学習教材の開発(研究代表者布尾勝一郎課題番号17K02854)


ぬのお

日本語教師。外国人介護・看護労働者に対する日本語教育政策に関する研究を行う一方で、EPA介護福祉士候補者向けの教材作成にも従事している。インドネシアでの日本語教育経験あり。