オノマトペを学ぼう(1)

オノマトペと介護の現場

みなさんは、『オノマトペ』というとどんなことばを思い浮かべますか。ワンワン、ニャーニャー、ザーザー、トントン、などという擬音語(擬声語)や、すらすら、ゆっくり、などの動作、物事の様態、状態を表す擬態語をオノマトペといいます。日本語には、擬音語・擬態語がたくさんありますね。

日本では、犬の鳴き声はワンワンと表現するのが一般的ですが、海外では、動物の鳴き声の表現は様々です。例えば、中国では同じようにワンワンですが、インドネシアでは「グクグク」、ベトナムでは「ギャウギャウ」と言うようです。猫の鳴き声は、日本では「ニャーニャー」、中国では「ミャオミャオ」、インドネシアでは「メオン」、ベトナムでは「ミャオ、ミャオ」のようです。おもしろいですね。

介護の現場では、よくオノマトペが使われています。体の痛みや体の状態を説明するときなどがそうです。よく使うことばがあります。例えば、頭が痛いとき「頭がガンガンする」と言ったり、心臓が苦しいとき「心臓がドキドキする」と言ったりします。また「背中がゾクゾクする」というのもよく使います。

オノマトペがよく使われる理由は、体の症状を具体的に表現するためです。日本語は他の言語と比べて、オノマトペの種類が多く、日常会話でもよく使われています。日本語のオノマトペを表現できる英語もなく、外国人にとっては理解しにくく習得が難しいようです。日本語学習者向けのテキストを見てもオノマトペを取り上げているものは少ないですが、介護に関わる日本語学習者向けのテキストの中では、重要な表現として取り上げられています。

介護の現場で使う表現だけでなく、普段よく使うオノマトペも一緒に学習すると、より多くの表現を覚えることができます。


Sakura

日本語教師。専門は日本語教育学、国際医療マネジメント。留学生、ビジネスマン、外国人介護従事者への日本語教育を行う。元EPA日本語予備教育事業担当。介護の専門日本語のコースデザイン、教材開発などを行い、介護の専門家と連携し、外国人介護従事者の介護福祉士国家資格取得に向けた学習支援をしている。