介護分野で働く外国人のための学習教材ガイド(1)
『はじめて学ぶ介護の日本語 基本のことば』の紹介
「介護のことば」って?難しいの? 「介護の言葉が難しい」――これは外国人介護人材、また彼らの支援者からよく聞かれるフレーズです。 みなさん、次に挙げる言葉がわかりますか? 「含嗽」 読み方は何ですか?どんな意味でしょうか? 正解は「がんそう」と読みます。意味は「うがい」です。うがいなら簡単、誰でもわかり...
介護分野で働く外国人のための学習教材ガイド(1)
「介護のことば」って?難しいの? 「介護の言葉が難しい」――これは外国人介護人材、また彼らの支援者からよく聞かれるフレーズです。 みなさん、次に挙げる言葉がわかりますか? 「含嗽」 読み方は何ですか?どんな意味でしょうか? 正解は「がんそう」と読みます。意味は「うがい」です。うがいなら簡単、誰でもわかり...
学習計画を考える(1)
介護現場に携わる外国人に必要な学習については、本ブログでもいくつかの記事で言及されています。すでに支援にかかわっている方は「そうそう」と思いながら記事を読んでくださったかもしれません。 本シリーズのテーマは「学習計画」です。その1回目は、学習についてちょっと大きな視点で見てみよう、というものです。...
EPA候補者の学習教材ガイド(4)
国家試験対策シリーズとは 前回の記事では、EPA介護候補者2年目の学習教材と、それと同じ時期に活用できるサイトや教材を紹介しました。 施設に配属され介護業務をしながらの1年は、きっと候補者も受け入れ施設側も慣れることで大変だったことと思います。そんな中、2年目には「介護福祉士国家試験」に向けた専門的な学...
介護福祉士国家試験のための専門用語学習(2)
前回の記事「受験に向けて学ぶべき日本語とは」で、国家試験を受験する上で、文法学習よりも語彙学習、特に専門用語学習が重要だということを書きました。それでは、国家試験では、どのような語が出現するのでしょうか。 中川(2015)では、国家試験で用いられる特徴的な語として、 介護専門用語 生活場面で用いられる語...
EPA候補者の学習教材ガイド(3)
配属2年目のEPA候補者の学習って? EPA介護福祉士候補者(以下、EPA介護候補者)は、約3年間の研修(実務経験)を経て、「介護福祉士国家試験」(以下、国家試験)に臨みます。その約3年間は、国家試験受験準備をすることになります。 配属1年目は、その後の専門的な学習に向けて、専門語彙、専門用語、読解力の基礎を...
介護福祉士国家試験のための専門用語学習(1)
2008年のEPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者の受け入れに始まり、在留資格介護、技能実習生、特定技能と、外国人介護従事者を受け入れる枠組みは多様になっています。受け入れの枠組みによって、外国人介護従事者の就労のしかた、キャリアの積み方が異なりますが、介護福祉士国家試験(以下、国家試験とします...
EPA候補者の学習教材ガイド(2)
前回の記事「配属1年目のEPA候補者の学習教材」では、EPA介護候補者(以下、候補者)1年目の学習に使う教材をご紹介しました。本記事では、その中の『介護の言葉と漢字ハンドブック』(以下、『ハンドブック』)を使った、語彙の学習方法の実践例をご紹介します。 私たちは『ハンドブック』の補助教材として「例文ノー...
介護福祉関連施設について知る(3)
介護施設にはいろいろな種類がある、ということについては「『老人ホーム』を知っていますか?」で触れましたが、仮に同じ種類の介護施設であっても、各事業所の方針によって仕事のしかたに違いがあるようです。 そして、その違いが最も現れやすいのが、「記録業務」です。記録業務は、利用者の安全を守るとともに、より...
EPA候補者の学習教材ガイド(1)
EPA介護福祉士候補者(以下、EPA介護候補者)は、約3年間の研修(実務経験)を経て「介護福祉士国家試験」に臨みます。その約3年間は、国家試験の受験準備をします。 配属1年目は、専門的な学習に向けて基礎を築く期間として、専門語彙や読解力を習得することが重要です。学習と研修(実務経験)を通して、介護の基本...
介護福祉関連施設について知る(2)
老人ホームは日本全国にあります。仕事柄、さまざまな老人ホームを訪れますが、もちろん職員の仕事内容はどこもほとんど変わりありません。しかし、そこである違いに気づきました。それは、地域によって周囲の環境が違うため、職員の日常生活や学習環境が大きく異なるということです。 異なる日常生活 東京のど真ん中の...
介護福祉関連施設について知る(1)
みなさんは「老人ホーム」*1 と聞いたとき、どんなイメージを持つでしょうか。私が介護の日本語の仕事に就く前、いわゆる老人ホームには「足が悪くて歩けない人や寝たきりの人、認知症の人たちがいる場所のようなものしかない」と思い込んでいました。 介護の日本語教育に関わるようになってから、ようやくその認識が誤...
オノマトペを学ぼう(3)
オノマトペを使って文の提示をしてみましょう。わかりにくいものには、イラストもつけて意味を確認しましょう。オリジナルの絵カードやかるたを作ってみるのも楽しいと思います。 体の状態 頭ががんがんする。 熱があるので、歩くとふらふらする。 ベットから急に起き上がったので、頭がくらくらした。 風邪をひいてのど...
外国人介護福祉士は、いったい何に困っているのか(4)
外国人介護福祉士は、いったい何に困っているのか、というテーマで、これまでに、 生活面 仕事面 学習面 に分けて、紹介をしてきました。シリーズ最後の(4)では、これらを踏まえて、外国人介護福祉士に必要な学習領域と項目についてまとめたいと思います。 上図は、介護職を目指す外国人にとって大変なことをまとめ...
学習支援の小さなアイディア(2)
候補者にとって「難しい!」と言われる法律や社会制度の学習。今回は、前回の「リーフレット編」に続き、介護保険や地域包括ケアの学習の際に制度のイメージ作りに参考になる動画サイトを紹介します。 動画を使って、実際の制度のイメージを作りましょう! みなさんは、地域包括支援センターという言葉を聞いたことがあ...
オノマトペを学ぼう(2)
介護の現場では、どのような場面でオノマトペが使われているでしょうか。 会話にすると、より身近に感じられると思います。イラストで示したり、ジェスチャーをつけると、より理解しやすくなるでしょう。 会話1 サリ:鈴木さん、どうなさいましたか。 鈴木:体がぞくぞくするんです。 サリ:じゃあ、熱をはかってみま...
外国人介護福祉士は、いったい何に困っているのか(3)
外国人介護福祉士は、いったい何に困っているのか、ということを取り上げていますが、前回までに、生活面、仕事面の話をしてきました。では、学習面ではどうなのか。今回は学習面についてあげていきます。 学習の場面では、次のようなことに困ります。 基本的な日本語力(語彙、文法、四技能の力) 漢字 介護の専門語彙 ...
学習支援の小さなアイディア(1)
私は、EPA介護福祉士候補者対象の国家試験対策の授業を担当していたことがあります。その時に学習者からよく聞いたのが、「日本の法律や社会制度についての学習が難しい!」という声です。なぜ難しいのかと聞いてみると、 「専門的な言葉がたくさんあって、大変」 「日本の社会制度がよく分からない」 「私の国には、こ...
外国人介護福祉士は、いったい何に困っているのか(2)
前の記事「生活面:外国人介護福祉士に必要な学習とは」では、介護職を目指す外国人が困ることとして、生活面の話をしました。では、仕事面ではどうでしょうか? 就労の場面では、例えば次のようなことに困ります。 話しことば:申し送り、職員・利用者(要介護者)・利用者の家族との会話 書きことば:記録、施設内の掲...
オノマトペを学ぼう(1)
みなさんは、『オノマトペ』というとどんなことばを思い浮かべますか。ワンワン、ニャーニャー、ザーザー、トントン、などという擬音語(擬声語)や、すらすら、ゆっくり、などの動作、物事の様態、状態を表す擬態語をオノマトペといいます。日本語には、擬音語・擬態語がたくさんありますね。 日本では、犬の鳴き声はワ...
外国人介護福祉士は、いったい何に困っているのか(1)
介護職に携わる外国人の方が増えています。例えば、日本での生活が長い定住者の方、介護職を目指す留学生の方、介護分野での在留資格を得て来日する方など…。 その方々が、たとえ日本語が堪能でも、介護現場で働くときに、困ることや大変なことがあります。それは何だと思いますか? 日本で働く場合には、「生活」をし...
外国人介護人材の急激な増加とともに、学習支援の担当者も施設の研修担当者、専門学校教員、日本語教師と多様化していますが、支援者に対する支援は決して十分ではありません。
そこで、本ブログでは、外国人介護人材への学習支援を行う日本語教師に対する支援を目的として、介護の専門日本語教育の経験が豊富な日本語教師が、これまでの教育経験に基づいて執筆した、介護の専門日本語教育に関する記事を掲載します。
なお、このサイトは、科研費研究課題「介護の日本語の理解のための視聴覚素材ライブラリの開発(19H01268)」の研究成果によるものです。